NDフィルターで撮る花火写真 vol.2
文・写真:山田春子

ブルーアワーのグラデーションの空に打ち上がる花火とともに、浴衣をまとった観客席を撮影すれば、その場の臨場感や夏の風情も感じられる作品となります。そんな写真にも、ハーフNDフィルターが活用できます。連載2回目は、明度差のある花火と観客席を、ハーフNDフィルターを使って撮影するテクニックをご紹介します。

新横浜花火大会2018(神奈川県横浜市) -2018年7月26日 / ISO100, NiSi Hard nano IR GND4(0.6) 

Case1: 空がまだ少し明るいブルーアワーに撮る

この花火大会は打ち上げ開始が19時15分、当日の日の入り時刻は18時53分でした。

いわゆる「ブルーアワー」と呼ばれる、空に青いグラデーションが残っていて綺麗に夜景が撮れるゴールデンタイムが、日の入り時刻から20~30分後です。ちょうどその時間に花火が始まりました。

この時間帯の撮影は、どちらの方角に向かって撮影するかで大きく空の明るさが違います。西に向かって撮影する場合、空はまだ少し明るいので、空のグラデーションが表現しやすい反面、バルブ撮影で人物が明るく写るくらい長く露光をかけると、空が昼間の様に明るくなってしまいます。また、明るい空がバックでは、花火の色も薄く目立たなくなってしまうので、そんな時にハーフグラデーションフィルターを活用してみてはいかがでしょうか。

空にグレーの部分をかけて、人物と建物等は透明の部分を使います。
花火と、「風景」や、花火と「人物」など、別の被写体を同時に写す場合には、

  1. 花火の明るさ
  2. 写し込む風景や人物の明るさ

この2つのバランスを考えて、使用するフィルターと露光時間を決めます。

まず、花火が上がる部分にハーフグラデーションフィルターをかけ、花火が適正露出で写るISO感度とF値を設定して試し撮りをします。花火の撮影では、あらかじめ何秒と露光時間を設定せず、花火に合わせて「バルブ撮影」でシャッターを開閉します。人物がちょうど良い明るさに写る露光時間(秒数)がわかったら、その秒数で撮り続けます。秒数は厳密でなくても、およそで大丈夫です。バルブ撮影で露光を開始したら、心の中で「1、2、3・・」と秒数をカウントします。

筆者は、ハーフND8とND4を主に使用しており、時間帯や明るさの状況に応じて使い分けています。

花火を撮るときのNDフィルターの選び方

花火を撮る場合、NDフィルターは、

    ISO100  →  ND4
    ISO200  →  ND8

を基準にします。

ハーフグラデーションフィルターの場合は、NDで暗くなっている部分の明るさは上記のどちらでも同じ明るさに写りますが、透明のガラスの部分はISO100200では200の方が明るく写ります。つまり、露光時間が2分の1で済むという計算になります。

花火がテンポよく続けて打ち上がるスターマインなど、長く露光していると花火が重なりすぎて白飛びしてしまうので、なるべく露光時間を短くしたい。そんな場合はISO200ND8のハーフグラデーションフィルターを選択しています。

逆に、露光時間が長くかかる大玉の花火や、ゆっくりメッセージを読んでから打ち上がる単発の花火など、長く露光が可能な花火の場合はISO100でND4のハーフグラデーションフィルターを使う、という風に考えると良いでしょう。実際の撮影現場の明るさに応じた露光時間や、どのような花火と組み合わせるかによって選びます。

常総きぬがわ花火大会 2017年8月11日 (茨城県常総市)メッセージ花火 / ISO200, Hard Nano IR GND8(0.9)

Case2: 完全に暗くなってからの撮影

こちらは、空がほぼ完全に暗くなってからの写真です。

地上の観客席と人物を明るく露光するため、Hard Nano IR GND8(0.9)使用で、花火が打ち上がる前のメッセージを読んでいる時から露光を始め、花火が消えて、次のメッセージを読んでいる間も露光を続けて、次の花火が打ち上がる直前に撮り終わりました。

ぜひハーフグラデーションフィルターを活用して、会場の観客席や、人物の後ろ姿を写しこみ、花火会場の臨場感を盛り込んだ作品づくりに挑戦してみてください。

なお、写し込む人物や観客席に全く光が当たっていない暗い場所ではハーフNDフィルターを使用しても人物を明るく写すのは難しいので、初めて挑戦する場合は、街灯や、お祭り会場の灯りなど、少し明るいところにいる人物を狙ってみると良いでしょう。

※後ろ姿であっても、特定の人物を主体に撮影する場合は、被写体の人に了承を得るようにしましょう。

山田春子 Haruko Yamada

大阪府出身。美しい風景とドライブが好きで、写真を撮りはじめる。だんだんと撮影の楽しさに魅了され、写真のプロの世界へ。「輝きの瞬間」をテーマに四季の風景写真と、大好きな花火を中心に撮影している。講師活動では年間約80回、延べ1,000人以上を指導。わかりやすいと定評がある。

資格・執筆など
一般社団法人 日本写真講師協会認定フォトインストラクター
クラブツーリズム写真撮影ツアー講師
2018年3月 カメラと映像のワールドプレミアムショー”CP+”の市川ソフトラボラトリー社のブースにて「感動の瞬間を色鮮やかに写す花火撮影とRAW現像」セミナーを開催
2018年6月 写真雑誌「フォトコンライフ2018年夏号」誌面にて、花火の特集記事「花火フォト簡単撮影テクニック」7ページを執筆