ハーフNDフィルター入門 vol.2
風景撮影でのハーフNDフィルターの使い方

文・写真: Christian Hoiberg 翻訳:山本 高裕

ノルウェー在住の風景写真家であり、メディアやオンラインで様々な撮影方法のレクチャーを行うChristian Hoiberg氏のテキストです。風景写真における、ハーフNDフィルターの使い分けも含めて、具体的な利用シー ン(または利用しないシーン)を解説しています。

風景写真でNDフィルターを使うことを知ってすぐ、私はハーフNDフィルターの存在を、そして、それを使うと写真が生まれ変わることを学びました。初めて角型フィルターシステムを購入したときに、ハーフNDフィルターも併せて購入しました(ハーフNDフィルターはねじ込み式では機能しないのです)。

非常に高価でしたが、ハーフNDフィルターは私の撮影に大きな変化をもたらしました。単に写真が変わっただけでなく、撮影の基本全般への理解が深まりました。その後の私の人生においても意味のある投資だったと思っています。

ハーフNDフィルターを使えば一朝一夕に優れた写真家になれる、とは言いません。それは難しいでしょう。しかし、初級者と中級者を隔てる壁を乗り越えるチャンスを得られるのは間違いありません。

この記事では、私が風景写真を撮るどんなときに、そしてなぜハーフNDフィルターを使うのかを、そして重要なことですが、ハーフNDを使わない場合についてもお話しします。

ハーフNDフィルターとは?

以前の記事で、風景写真に使うハーフNDフィルターを詳しく紹介しましたが、まだその記事をお読みになっていない方のために、いくつか大切な点をまとめておきます。

ハーフNDフィルター(GND)は部分的に暗くなっているフィルターで、レンズの前に配置して使用します。写真のダイナミックレンジを広げる役割を持っています。通常のNDフィルターと似ていますが、大きな違いはフィルターの上半分だけが暗くなっていて、下半分は透明になっていることです。

一般的にハーフNDフィルターは、空と大地の明暗差が多いときに、空の明るさを抑えるために用いられます。美しい夕焼けを撮影するときに、どうやっても空が白飛びしてしまう、または風景が黒潰れしてしまうということを、多くの方が経験していると思います。しかし、レンズの前にハーフNDフィルターを置くことで、写真の一部の光を効果的に抑えることができ、空と大地のどちらも美しく見える、バランスの取れた写真を撮ることができるのです。

ハーフNDフィルターを使わない場合の典型的な見え方例

ハーフNDフィルターには種類がいくつもありますが、その詳細は「ハーフNDフィルターの使い方」をお読みください。

ハーフNDフィルターを使うとき

撮影に出かけるとき、私はいつもハーフNDフィルターをバックパックに入れて持っていくようにしています。使わないかもしれませんが、必要になるケースに出くわすこともありますから。

ハーフNDフィルターが必要になるのは、日の出や日の入りの時間帯の撮影のときで、空と大地の明暗差が大きいときです。初めにお話ししましたが、このような場面をフィルターを使わずにワンショットで捉えることは、不可能ではないにしても非常に困難です。しかしフィルターを使えば、空の明るさを十分に抑え、バランスの取れた写真を撮ることができます。

フィルターを使用する判断基準:

  • 陸地部分よりも空が極度に明るく、フィルターを使わないと撮れない
  • カメラを三脚に載せている
  • 地平線から上に突き出して見えるものがない
  • 地平線から上に突き出すものがあったとしても、構図に大きな影響がない

これらの判断基準に合わない場合、私はフィルターをあまり使いません。つまり、地平線が比較的平坦で、カメラが三脚に載っている場合にフィルターを使います。

NDフィルターを使用した作例

三脚なしでハーフNDフィルターが使えないわけではありませんが、私はそうしません。手持ちで撮影しようとすると、フィルターと地平線を合わせることが難しいからです。

ハーフNDフィルターを使わないとき

ハーフNDフィルターを使う判断基準に触れたので、使わない場合についてもご理解いただけていると思いますが、もう少し詳しく説明します。

ハーフNDフィルターは、山や木、建物などの要素が地平線から上に突き出していると使いづらいです。一部の光を抑え、バランスの取れた写真を撮るのがこのフィルターの役割です。フィルターに明から暗に変化する部分があるためこれができるわけですが、この変化は垂直方向に均一で、地平線から上に突き出しているものも同様の影響を受けてしまいます。

このような場面でハーフNDフィルターは使いません

それはどういう意味でしょうか。つまり、空が明るく大地が暗い場合、地平線の上に突き出した山も暗くなってしまいます。フィルターをレンズの前に配置することで、空だけでなく、山も暗く写してしまうのです。このようなケースでは、空の光を抑え、大地の露出を適正に保つことはできますが、山が暗くなりすぎてしまいます。

これがハーフNDフィルターを使うことのマイナス面です。それを避けるためによく使われるのは、露出を変えて何枚か撮影し、ダイナミックレンジの広い写真をフォトショップで合成して作る手法です。これはかなり上級者向けのテクニックですので、今は掘り下げないでおきます。

もし、あなたがこのフィルターに関する知識をいくらかお持ちなら、「ソフト・ハーフNDフィルターを使えばいい」とおっしゃるかもしれません。そのとおりです。それでうまく行くかもしれません。しかし、すべての状況に対応できるわけではありません。ソフト・ハーフNDフィルターは、透明部から暗部への変化が緩やかになっていて、このような場面での使用を想定したものです。しかし問題は残ります。この緩やかな明暗の変化のため、空に突き出した山の下方周辺の空の明るさを十分に抑えきることができず、一方で山の頂上に近い辺りが暗くなりすぎてしまうのです。

覚えておきたいこと

ハーフNDフィルターにはさまざまな種類があります。最初に知っておくべきことはたくさんあります(フィルターの種類が多すぎるかもしれませんね)。しかし、たいていの場面で使える種類があるとも言えます。ソフトエッジ、ミディアムエッジ、ハードエッジの(明暗部の変化の緩急が異なる)フィルターがあり、普通のフィルターとリバースフィルター(暗部の変化が通常と逆になっているもの)があり、(地平線付近だけを暗く写せる)ホライゾンフィルターがあります。さらにこれのそれぞれに、光を抑える度合いの異なるものがあります。

私自身、これまで何種類ものハーフNDフィルターを試しましたが、今、所有しているのは、3段減光効果のあるソフト、ミディアム、ハードエッジの3枚に加え、リバース・ハーフNDフィルターとホライゾンフィルターです。最近まで、ソフトとハードエッジの2種類を常に携行していましたが、今はミディアム・ハーフNDとリバース・ハーフNDだけを使っています。1枚だけ使う場面であれば、ほぼすべてのケースで、NiSiのミディアムGNDフィルターを使っています。これがもっとも便利で、フィルターが必要な多くの場面に対応できると考えています。

NDフィルターを使うのが最善ではない場合、私は露出を変えて複数の写真を撮り、後でフォトショップを使って合成します。言うまでもありませんが、その作業にはとても時間がかかるので、可能な限り避けるようにしています。現場でできる限り最終型の写真に近づけて撮る。それが私の好きなスタイルです。

Christian Hoiberg

NiSiアンバサダー。ノルウェー在住の風景写真家。
N Photo Magazine、Landscape Photography Magazine、Camera Pixio、Resource Travelなど、さまざまな雑誌に作品を発表。2016年よりウェブサイト、Capture Landscapesにて撮影講座を開催。作品は風景写真家。撮影のための30のTIPSをウェブサイトで無料で公開。

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