山写、海へ行く <後編>
文・写真:山写

山岳写真家としての活躍する「山写」氏による「旅行をしながら写真を楽しむスタイルのフィルターワーク」講座・後編は、NDフィルターによる長時間露光、CPLフィルターを活用した作品をご紹介します。

Nikon Z7 + NIKKOR Z 14-30mm F4S, 18.5mm / F16 / S 3.0 / ISO 200 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8

遠近感の表現の基本は自分の立っている位置の近景から中景、遠景の3つオブジェクトの構成です。

この写真では東から入る朝日が階段の手摺に当たり強いコントラストが出ており、これが線になり視線を誘導して奥行き感を表現しています。

この線の出方は光の差し込みによって幾様にも変化するため構図を作る前に光を読み出現するラインを予測します。それがこの場では東から差し込む朝日です。

さらにGNDフィルターを使用することで本来であれば白飛びしてしまう空と波のディテールを残すことができます。

シャッタースピードは3秒にすることで波の質感をさざ波のような柔らかさを表現しています。

Nikon Z7 + NIKKOR Z 14-30mm F4S, 18.5mm / F16 / S 242.0 / ISO 200 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8 + ND1000

そこにND1000を加えてシャッタースピードを242秒にすると空が動き、また海に反射する光も大きくなり写真全体から強さが出てきます。

近景と中景は変えず、遠景の表現を変えるだけで写真の印象は大きく変わります。それを自然に表現しやすいのがソフトのGNDフィルターです。

そして注目したいのがND1000フィルター。4分を超える長秒露光ですが色被りも少なく階段の石をディテールもキレイに表現できています。

CPL+GND+NDという3枚重ねでの撮影でも色や画が破綻しないことからフィルター自体の光学性能の良さを感じます。

Nikon Z7 + NIKKOR Z 24-70mm F2.8S, 70mm / F16 / S 259.0 / ISO 100 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8 + ND1000

多様な質感の融合。静と動。硬さと柔らかさが同時にそこにある。

混ざりあうことがないものを混ぜ合わせた、ある種の違和感。

逆光でシルエットのみが残る枯れ木、けれどもその奥にはキレイなグラデーションがかかる霞がかった山々、動きを失った海と流動する雲。

それを撮るための光のコントロールができるのがGNDフィルターとNDフィルターの組み合わせでした。

使用したのはNiSIの V6システム。

持ち運びしやすく装着も簡単であることから広角レンズでも円形フィルターが装着できるものが多い最新のミラーレス一眼との相性がよいものです。

GND角型フィルターはグラデーションの位置を調整することができるため、シチュエーションに合わせて減光の効果を最適化できます。

CPLによる水面反射の制御とフィルターの逆光耐性

Nikon Z7 + NIKKOR Z 14-30mm F4S, 14mm / F22 / S 124.0 / ISO 100 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8 + ND1000

V6ホルダーキットに標準装備されているEnhanced Landscape CPLで湖の反射おさえてリフレクションを作っています。

Nikon Z6 + NIKKOR Z 24-70mm F2.8S, 70mm / F11 / S 30.0 / ISO 200 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8 + ND1000

フィルターによる逆光耐性の低下が気になっていましたが、装着の際に汚れを拭きしっかりと装着すれば作例通りの性能を発揮します。

円形フィルターと違い装着時にミスをしやすく指紋も付きやすいものですので逆光シーンを撮る前はレンズクロスでキレイに拭くとミスショットを減らせます。

角型フィルターは、より自由な表現をするための必須アクセサリー

最新のカメラ、特にミラーレスカメラは高性能で背面液晶やEVFで見たとおりの写真を撮ることができます。

撮れるものがわかっているということが逆に写真の自由を失くしていると思うこともあります。

NiSiの角型フィルターのS5とV6を北海道旅行で使って感じたのはオモチャで遊ぶような高揚感。

カメラとレンズだけではできない表現を可能にし、その使い方はユーザーに委ねられます。セオリーに従うもよし抗うもよし。

自分の表現したい写真にするため使い方は無限にあり、それが写真を撮る楽しみに繋がります。

たとえばND1000フィルターを使って流れる雲や波の動きを予測する、水面のリフレクションを強く出すためにGNDフィルターを逆に付ける、汚して光を乱反射させてみたりと試行錯誤できることがたくさんあります。

それでいて写真の品質を落とさない光学性能があるため、作品作りにも積極的に使っていくことができます。

被写体を深く観察し、撮りたいものを思いのままに表現する。そんな写真を撮りたい人には必須といえるアクセサリーかもしれません。

山写 Yamasha

山岳写真専門のネイチャーフォトグラファー。ヒマラヤのエベレストやマカルー、カンチェンジュンガ中央峰、ヨーロッパアルプスを登り山岳写真に没頭。写真撮影きっかけにした登山の普及ためアウトドアメーカー、行政、大学などと協力し活動しつつ、自然の魅力を発信したい地方自治体の支援を写真で行う。WEBメディア「登山と写真で仕事をしている人。」を運営。

> オフィシャルサイト

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