山写、海へ行く <前編>
文・写真:山写

山岳写真家としての活躍、あるいは山岳写真の安全に関する講習や、地域振興など幅広く活躍、しかしその素顔には謎も多い「山写」氏。北海道の海辺へ撮影に行くと伺い、角型ホルダー/フィルターのレビューをお願いしました。機材は、Nikon Z6 / Z7に、それぞれ150mmシステムのS5、100mmシステムのV6、NDフィルター、GNDフィルター、CPLフィルター。前・後編2回の掲載です。

Nikon Z6 + FTZ + Nikon AF-S 14-24mm F2.8G, 14mm / F16 / S 0.6 / ISO 500 / NiSi S5 Landscape CPL + Reverse GND16

車で北海道を移動しながら、その時出会った風景をNiSiの角型フィルターを使い撮影しました。はじめての場所、はじめての被写体。旅行しながら気軽に撮影するとき角型フィルターがあるとどのように写真が変化するのか。作品作りではなく、旅行しながら写真を楽しむスタイルでのフィルターワークの解説です。

荒々しさがあり躍動的な表現。強いコントラストと硬い質感。そのためのフィルターワークの解説です。

まずは波の流れを作るためシャッタースピードを0.6秒に合わせ狙った表現になるように微調整します。次にCPLフィルターで岩の反射面の表現を調整し最も固い印象になるようにしっとり感を消します。

マジックアワーに入る前の夕日の明るさで色が飛んでしまわないように水平線に合わせてリバースハーフNDフィルターを使用。ミディアムGND16(4段減光)を使用することによりコントラストを強く出すと同時に、雲も暗く表現することで夕日の明るさを強調するように狙いました。

動きを連想させる暖色系のオレンジと強いコントラスト、硬い質感に仕上げることで男性的で荒々しい日本海を表現しました。

Nikon Z7 + NIKKOR Z 14-30mm F4S, 14mm / F14 / S 25.0 / ISO 200 / NiSi V6 Enhanced Landscape CPL + Soft GND8

次にまったく同じ場所でコンセプトを変えたアプローチ。荒々しさを消して静かで優しい雰囲気を作ります。

太陽が水平線に落ちてからの残光を利用することでパープルの色合いを出します。

シャッタースピードも25秒に設定し波の質感をすべて消して霧のように表現し、CPLフィルターでしっとり感が最大に出る位置に合わせます。

そこからソフトGND8のフィルターを使いキレイなグラデーションをかけることで空のグラデーションを作りメリハリの少ない落ち着いたトーンに仕上げます。

これは先程の荒々しい表現とは真逆のアプローチです。

NiSiのCPLと角型フィルターの組み合わせはこのように色や光、シャッタースピードのコントロールを容易にし、撮りたいものを想いのままに表現することができます。

Nikon 14-24mm F2.8Gのような円形フィルターが装着できないレンズを使用する場合はNiSI S5システムと150mmの角型フィルターを使うと他のレンズでも併用できるため装備をすっきりさせることができます。

150mmのシステムはアダプタを使用することで82m~72mm経のレンズなども装着することができます。軽量コンパクトな100mmの角型フィルターのV6は魅力的ですが、FマウントユーザーはS5システムの方が使いやすいです。

対してNIKKOR Z 14-30mm F4Sは超広角の14mmながら82mmの円形フィルターが装着できるため100mmのV6フィルターホルダーが装着できます。作例を見てもわかるように四隅が暗くなるケラレも起こりにくいため一気に軽量化することができます。

まさに次世代のフィルターワークフローです。

偶発的フィルター活用法

私は写真撮影においてはロジカルなアプローチを好みますが、時には「偶然」に身を任せることもあります。

このシーンでは海の色がブルーに染まり、空が紫の中、燃えるような太陽がとても印象的でこれを主題にするためにミディアムGNDを使い太陽の明るさは残しつつ空を暗くするアプローチから始めました。

ただどうしても太陽の表現に納得が行かない。そんなとき偶然大波が来て飛沫でフィルターに水滴がついてしまいました。

そして見つけた太陽の炎の表現。

Nikon Z6 + FTZ + Nikon AF-S 14-24mm F2.8G, 24mm / F20 / S 2.0 / ISO 200 / NiSi S5 Landscape CPL + ミディアム GND16

拡大してみるとそれが水滴による効果であることがよくわかります。

写真を解像感で評価するならばこれは失敗例になるのかもしれません。

しかし私が表現したかったものであり、その手法がたまたまGNDフィルターに水滴を付けるということだっただけ。

角型フィルターシステムは何枚ものフィルターを重ねて写真を創ります。そこに汚れという手法を取り入れオモチャのように楽しく撮影するテクニックの1つとして使えるようになると表現の幅が広がるのではないでしょうか。

山写 Yamasha

山岳写真専門のネイチャーフォトグラファー。ヒマラヤのエベレストやマカルー、カンチェンジュンガ中央峰、ヨーロッパアルプスを登り山岳写真に没頭。写真撮影きっかけにした登山の普及ためアウトドアメーカー、行政、大学などと協力し活動しつつ、自然の魅力を発信したい地方自治体の支援を写真で行う。WEBメディア「登山と写真で仕事をしている人。」を運営。

> オフィシャルサイト

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